全圧連の動き(令和4年度)

■国土交通省におけるカーボンニュートラルに向けた取組について

令和4年7月30日

国土交通省 総合政策局 環境政策課

1.はじめに

近年、気候変動により自然災害が激甚化、頻発化する中、2050年カーボンニュートラルが世界の潮流となり、我が国においても、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことが示されました。

国土交通省では、2050年のカーボンニュートラルの実現、気候変動への対応など、グリーン社会の実現に貢献するため、我が国のCO2排出量の約5割を占める運輸、家庭・業務部門の脱炭素化等に向けた地球温暖化対策、気候変動適応策等に戦略的に取り組む国土交通省の環境分野でのグリーン技術を含めた施策・プロジェクトを「国土交通グリーンチャレンジ」として昨年7月にとりまとめました。

2.グリーン社会実現に向けた横断的視点

グリーン社会の実現に向け、多様な主体間の連携の下、特に以下の6つの横断的視点をベースに、国土交通分野における環境関連施策・プロジェクトの充実強化を図ることとしています。

① イノベーション等に関する産学官の連携
・グリーン成長戦略による新技術の研究開発等にコミットする民間事業者等との連携
・サプライチェーン、ライフサイクル全体での異業種間連携を含む分野横断の取組推進
② 地域との連携
・地域脱炭素ロードマップと連携した省エネ、再エネ活用等の取組推進
・まちづくり、地域交通等に関する計画間・関係主体間の連携強化
③ 国民・企業の行動変容の促進
・国民・生活者・利用者等の目線で環境行動が適切に選択される環境整備
・国民・企業の価値変容・行動変容の促進に向け、経済的なインセンティブの活用を含めた社会システムのあり方について検討
④ デジタル技術、データの活用
・分野横断的なデータ連携やオープンなデータプラットフォームの構築など、デジタル化による効率的・効果的なグリーン化
⑤ グリーンファイナンスの活用
・革新的イノベーションに向けた民間投資の呼び込み、ESG投資の促進
・脱炭素化へのトランジション戦略の構築
⑥ 国際貢献、国際展開
・国際的なルールメーキング等の国際貢献
・脱炭素化、気候変動適応に関する新たなインフラシステムの海外展開

3.分野横断・官民連携により取り組む重点プロジェクト

以下では、国土交通省として取り組む6つの重点プロジェクトの要点を紹介します。

(1)省エネ・再エネ拡大等につながるスマートで強靱なくらしとまちづくり

エネルギー消費ベースで我が国のCO2総排出量の約3割を占める民生部門等における省エネ、再エネ利用等を推進するため、住宅・建築物の更なる省エネ対策の強化、インフラ等を活用した地域再エネの導入・利用拡大、カーボンニュートラルなまちづくり等を推進します。

【主な施策】
  • ○LCCM住宅・建築物、ZEH・ZEB等の普及促進、省エネ改修促進、省エネ性能等の認定・表示制度等の充実・普及、更なる規制等の対策強化
  • ○木造建築物の普及拡大
  • ○インフラにおける太陽光、下水道バイオマス等の地域再エネの導入・利用拡大
  • ○都市のコンパクト化、スマートシティ、都市内エリア単位の包括的な脱炭素化の推進 等

(2)グリーンインフラを活用した自然共生地域づくり

自然環境が有する多様な機能を活用した「グリーンインフラ」の社会実装により、CO2吸収源対策のほか、生態系の保全、雨水貯留・浸透等の防災・減災、ポストコロナの健康でゆとりある生活空間の形成に資するまちづくりなど、多面的な地域課題の複合的解決を図る、持続可能で魅力ある地域づくりを分野横断・官民連携により推進します。

【主な施策】
  • ○流域治水と連携したグリーンインフラによる雨水貯留・浸透の推進
  • ○都市緑化の推進、生態系ネットワークの保全・再生・活用 等

(3)自動車の電動化に対応した交通・物流・インフラシステムの構築

運輸部門におけるCO2排出量の86%を占める自動車からの排出量削減に向け、自動車の電動化を加速するため、関係省庁と連携し、次世代自動車の普及促進に向けた支援策を強化するとともに、自動車の電動化に対応した交通・物流・インフラシステムの観点からの対策の強化を図ります。

【主な施策】
  • ○次世代自動車の普及促進、燃費性能の向上
  • ○自動車の電動化に対応したインフラの社会実装に向けたEV充電器の公道設置社会実験、走行中給電システム技術の研究開発支援 等

(4)デジタルとグリーンによる持続可能な交通・物流サービスの展開

我が国のCO2排出量の約2割を占める運輸部門における排出削減に向け、自動車の電動化対策だけでなく、AI・IoT、ビッグデータ等のデジタル技術の活用を含めたスマート交通やグリーン物流の取組を推進し、効率化・生産性向上と環境配慮の両立を図ります。

【主な施策】
  • ○LRT・BRT等の導入促進、MaaSの社会実装等を通じた公共交通の利便性向上
  • ○物流DXの推進、共同輸配送システムの構築、モーダルシフトの推進
  • ○船舶・鉄道・航空分野における次世代グリーン輸送機関の普及 等

(5)港湾・海事分野におけるカーボンニュートラルの実現、グリーン化の推進

脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化等を通じて「カーボンニュートラルポート(CNP)」の形成を推進するとともに、ガス燃料船等の開発・実用化の推進、生産基盤の確立等により、世界に先駆けてゼロエミッション船の商業運航を実現します。

【主な施策】
  • ○水素・燃料アンモニア等の輸入・活用拡大を図るCNP形成の推進
  • ○ゼロエミッション船の研究開発・導入促進、日本主導の国際基準の整備 等

(6)インフラのライフサイクル全体でのカーボンニュートラル、循環型社会の実現

一旦整備されると長期間にわたって供用されるインフラ分野において、供用・管理段階でのインフラサービスにおける省エネ化のみならず、ライフサイクル全体の観点から、計画・設計、建設施工、更新・解体等の段階において、脱炭素化の取組を推進します。

【主な施策】
  • ○省CO2に資する材料等の活用促進、技術開発
  • ○建設施工分野におけるICT施工の推進、革新的建設機械の導入拡大
  • ○道路(道路照明のLED化)、鉄道(省エネ設備)、空港(施設等の省CO2化) 等

4.おわりに

グリーン社会の実現の鍵は、「連携」です。「国土交通グリーンチャレンジ」の実施に当たっては、政府一体となって取り組むグリーン成長戦略や地域脱炭素ロードマップ等と軌を一にし、経済産業省や環境省等の関係省庁との連携により、最大限の効果を発揮できるよう取り組む必要があります。

地方公共団体や地域の各種団体、そして、国土交通分野に関わる多種多様な民間事業者や公的機関等との連携により、また、国民・企業等による主体的な取組とも相まって、国土交通省に期待される大きな役割と責任を果たせるよう、カーボンニュートラルや気候危機に対応した社会システムの変革に挑戦し、持続可能で強靱なグリーン社会を将来世代に引き継いでいけるよう取り組んでまいります。

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■カーボンオフセットにより環境負荷低減を図る

令和4年7月30日
全国圧接業協同組合連合会 会長 嘉藤 裕一
エコウェル協会
会長 勅使川原 正臣

2015年に国連総会で17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。これを受けて、我が国では菅前内閣総理大臣が所信表明演説で「2050年には温室効果ガス排出量をゼロにする」と宣言されました。建設業界においても環境負荷の低い資材や、完成後温室効果ガスを排出させない建物の設計、また設計段階から環境に配慮した工法の積極的採用といった流れは今後加速していく事が予測されます。

そのような流れの中、高分子天然ガス圧接「エコスピード®工法」(※1)で使用されるエコウェルガス(※2)はCNL(※3)を採用することが決定し、2022年4月より一部地域を先行して供給を開始しました。

CNLとは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、新興国等における環境保全プロジェクトにより創出されたCO2クレジットで相殺すること(カーボン・オフセット)により、地球規模では、この天然ガスを使用してもCO2が発生しないとみなされる液化天然ガスです。シェル社が行う環境保全プロジェクト(※4)は、地球規模での温室効果ガス削減・排出抑制に加え、現地での雇用の創出や生物多様性の保護等、SDGsの目標にも関連しています。CNLの活用は、持続可能な社会の実現に貢献します。

エコスピード®工法は天然ガスの使用に加え、高分子還元材(PSリング)を用いて鉄筋接合面の酸化物の発生を防止する新たな技術により、接合不良を低減したガス圧接工法です。これまでも、アセチレン+酸素の混合炎を使用した従来圧接と比較してCO2の排出量を約60%削減、且つ現場での燃焼時に排出されるCO2を約25%削減しておりました。CNLの導入によりエコスピード®工法での施工によるCO2排出量はおおよそゼロとなることで、更に環境性の付加価値を高め建設現場における脱炭素化に大きく貢献できるものとなります。エコスピード®工法は在来工法と比べ安全性・品質の安定性で優位性があり日本全国で安心して施工することができ、さらにCNLによる効果も加えて脱炭素社会の実現に大きく貢献します。

  • (※1)(公社)日本鉄筋継手協会では、本工法を「高分子天然ガス圧接継手」と命名している。
  • (※2)ガス圧接専用に成分調整された天然ガス。
  • (※3)カーボンニュートラル液化天然ガスのこと。
  • (※4)ペルーの森林保全、インドネシアの泥炭湿地の自然保護、中国の植林活動。
    なお、これらの環境保全によるCO2クレジットとセットになった天然ガスをシリンダー充填している。
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■7次構造改善計画
 2030年に向けてカーボンニュートラルを展開

令和4年7月30日

全国圧接業協同組合連合会 専務理事 中村 真也

「信頼できる技術集団をめざして」を第7次構造改善計画のメインテーマに、サブテーマとして「総合鉄筋継手業の行く先」を掲げ、全圧連の5年後のあるべき姿を目指して活動を展開しています。この構造改善計画は昭和59年に第1次構造改善計画が始まり、令和2年から第7次が始まり37年が経過しています。

第7次構造改善計画は、令和2年から令和7年までが活動期間となります。第7次では経営戦略化ビジョンとして、「総合鉄筋継手業としての体制づくり」、「働き方改革=若年者、外国人材の確保・育成」、「技能者の育成」の3つのビジョンを掲げ、事業を展開しています。

令和4年から脱炭素社会の実現を目指す取組みを展開していくためにカーボンニュートラル事業を追加しました。

1.総合鉄筋継手業の体制づくり

令和元年7月、全国圧接業協同組合連合会(以下、全圧連)はガス圧接業から鉄筋継手業へ定款を変更し、総合鉄筋継手業への転換の第1歩を踏み出しました。現在、鉄筋継手業への定款変更は関東圧接業協同組合、西日本圧接業協同組合と2つの組合が定款を変更しています。

今後、継手の多様性にあわせて、定款変更して溶接継手、機械式継手に取り組んでいかなければなりません。総合鉄筋継手業を推進していくうえで重要なのは、全ての継手に公平な検査を確保することに業界をあげて取り組んでいくことです。公平な検査は総合鉄筋継手業の要です。70年余続いた圧接技術を次世代の技量者に継承していくためにも『総合鉄筋継手業』は重要なキーワードとなります。

2.人材不足の解消(外国人材の育成)

令和2年8月から外国人受入れのため鉄筋継手の特定技能評価試験を実施しています。これにより技能実習から鉄筋継手への移行が年々増加しています。今後、全圧連として外国人技量者の育成に注力していきます。

圧接業界の年齢ピーク(47歳)から10年後、この状況では技量者は6割近くに減少すると考えます。この傾向は建設業界に留まらす、全ての業種に当てはまります。

しかし、慢性的な人手不足の背景には人口減少だけでなく賃金の問題も内在しており、業界が一丸となって処遇改善に取り組んでいかなければなりません。

3.カ—ボンニュートラルのアクションプログラム

令和2年10月26日、第203回臨時国会の所信表明演説で、菅総理大臣(当時)は「2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。

これにより2030年までの二酸化炭素排出量削減目標を2013年度比46%減とするカーボンオフセットを掲げております。

カーボンニュートラル推進するには、業界の全体で展開するアクションプログラムがキーポイントとなります。カーボンオフセットを綿密に組み立てることで、温室効果ガス削減にどこまで迫れるか、そのベースとなるカーボンオフセットが重要となります。

(1)カーボンオフセットの構築

圧接業界のカーボンオフセットを推進するために①機器、②燃料、③運搬の3つの面から削減要因を抽出し具体的に検証していくことが必要です。

全国圧接業協同組合連合会 会長 嘉藤 裕一

(2)削減の方向性

①削減要因:機器機材

圧接機器のカーボンオフセットは、メーカーのカーボンオフセットによるところが大きく、メーカーの取組みと企業努力で大きく左右します。ユーザー側としてはCO2削減の製品を購入するか、交換するか、会社で使用している機器を変更することで、取り組みを拡大していきます。

②削減要因:燃料

燃料から出る CO2 の占める割合が大きい。よって、代替エネルギ―への転換が圧接業界のターニングポイントになります。加熱して接合する圧接技術は CO2 の排出量を完全にゼロにすることは不可能です。しかし、日本全体から見ると業界が排出する CO2 は多くはありません。業界が出す CO2 がカーボンニュートラルに大きな影響が与えることがないことを証明することも必要です。

③削減要因:運搬

車の燃料に関する代替エネルギーをCNGもしくは水素、電気自動車の変更することで削減効果が大きいことから、今後、バイオマス燃料など再生可能エネルギーへ実用化に向けて大きくシフトしていくことが考えられます。車の買い替え等、助成金を活用して転換していくことで、状況は大きく変化していきます。

4.カーボンニュートラルの展開

カーボンニュートラルを圧接業界が単独で推進していくことは不可能です。第7次構造改善計画に盛り込込んだことで、燃料、機材メーカーの協力を得て、5年、10年の長いスパンで活動を展開して、2030年の二酸化炭素排出量削減目標である2013年度比46%減とするカーボンオフセットを達成しなくてはなりません。

今後の展開として、カーボンオフセットを進めると同時に、温室効果ガスについて、排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにすることです。しかし、現実的に排出量を完全にゼロに抑えることが難しい。

その方法として排出せざるを得なかった分については、同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロにします。そこで、削減が難しい排出分を埋め合わせるために、「吸収」や「除去」をおこないます。

たとえば、植林を進めることにより、光合成に使われる大気中の CO2 の吸収量を増やす、大気中に存在する二酸化炭素を回収して貯留する「ネガティブエミッション技術」を活用することも考えられます。

2030年までに残された時間は限られています。迫りくるエネルギー問題について立ち向かえるへ道標を示すことが業界の責務であると考えます。

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■新会長挨拶
 情報発信を迅速に行い スピーディーな体質を作っていく

令和4年7月30日
全国圧接業協同組合連合会 会長 嘉藤 裕一
全国圧接業協同組合連合会
会長 嘉藤 裕一

今期より全国圧接業協同組合連合会の会長を務めさせていただく嘉藤でございます。

大場前会長が 12 年に亘り築き上げてきた組合活動を継続しつつ、私なりの考えを盛り込んだ新たな組合活動により、より強固な全国圧接業協同組合連合会を築いていく所存であります。

私の考える圧接とは、構造物を人間の体に例えますと、骨を鉄筋、筋肉をコンクリート、皮膚を外壁、そして関節部を圧接だと例えさせていただくことが多くあります。構造物の根幹をなす重要な仕事である誇りを持ち、組合に所属している会社、ひいては第一線で活躍されている従業員の方々すべてが、笑顔で暮らせるクリーンな業界づくりに尽力していきたいと考えております。その為に私のできることは何だろうと考えてみますと、人材確保、若手育成、働き方改革を進めていく事。人材確保については、各単協での出前講座の拡充。若手育成については、富士教育センターの活用による若年労働者に対する資格取得教育の充実。働き方改革については、完全週休二日制導入モデルの策定などを考えております。各方面の方々と連携を図り建設業界全体のスタンダードとしていきたいものです。

しかしながら、問題は山積みです。建設業界全体の高齢化は加速していく一方です。その中で、建設業界の魅力をどのようにアピールしていくのか。入職した若者が何に魅力を感じるのか、しっかりとしたリサーチの元、将来のスキルモデルを今どきの形で作成するのも良いかもしれません。完全週休二日制については、各社の負担が大きくならないよう、業界団体を挙げて単価の引き上げを行い、賃金を減らすことなく完全週休二日制の導入を支援して行きたいと思います。

人の問題以外にも、我々を取り巻く環境は日々変化を続け、新しい法律への対応が求められる場面が多々あります。目の前にはインボイス制度への対応が控えております。こうした社会的環境及び法律への対応を組合員の方々に迅速に対応していただく為に、情報発信を迅速に行いスピーディーな組合の体質を作っていく事も大切な責務ではないかと考えております。

脱炭素社会形成のための、カーボンニュートラルへの取り組みについても、省エネやエネルギー効率の向上に対応した技術である天然ガス圧接の拡大の為、エコウェル協会とも連携していかなければ達成できません。植林活動への貢献、ネガティブエミッション技術を建設業界にどのようにして用いていくかも考えていきたい。

世界ではESG投資が拡大している為、環境への配慮は企業にとっても取り組むべき重要課題ではないのでしょうか。カーボンニュートラルを目指す技術のイノベーション開発に大規模な投資が行われているようです。まずは2030年までに持続可能な開発目標であるSDGsもあります。世界の動きもクリーンな社会づくりへと向かっているので、建設業界全体も安全、安心、(safe and secure)な業界を目指し組合員一丸となり努力していきましょう。

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