全圧連の動き(令和7年度)

■包摂的な社会の実現に向けて

令和8年1月31日

衆議院議員 斉藤 鉄夫

前衆議院議員 斉藤 鉄夫
衆議院議員
斉藤 鉄夫

全国圧接業協同組合連合会の皆様におかれましては、2026年の新春を健やかにお迎えのことと心よりお慶び申し上げます。また、日頃より我が国の強靱なインフラ整備の要である「鉄筋継手」の技術向上と安全確保に多大なるご尽力をいただいておりますことに、深く敬意を表します。

私はかつて建設会社に身を置いた一技術者として、コンクリートの中に隠れては見えなくなるものの、建物の安全を文字通り一手に担う圧接技術の重要性を、身をもって理解しております。現在、国政を担う立場にあっても、現場で汗を流す皆様の処遇改善と、この誇り高き技術の継承は、最優先で取り組むべき喫緊の課題であると考えております。

貴連合会が推進されている「第8次構造改善計画」は、まさに建設業界が直面する2024年問題以降の新たなフェーズにおいて、極めて重要な指針となっています。

特に本計画の柱の一つである「特定技能外国人による担い手確保とライフプランの提示」は、人口減少社会における建設業の持続可能性を占う試金石です。単なる労働力としてではなく、次世代を担う技術者として彼らを迎え入れ、圧接という専門技能の継承者として育てる貴連合会の姿勢は、包摂社会の実現を目指す我々の政策とも深く共鳴するものです。

また、脱炭素社会の実現に向けた「水素・エチレン混合ガス(ハイドロカット)」や「天然ガス圧接工法」といった環境配慮型技術の導入・普及も、本計画の大きな成果として注目しております。工学博士の立場からも、こうした技術革新が建設DXと相まって、圧接業の付加価値をさらに高めていくことを確信しております。

私はこれまでも、皆様から「鉄筋継手工事」を独立した業種区分として確立してほしいとの切実なご要望を直接伺ってまいりました。現場の技能者が正当に評価され、その懐が温かくなってこそ、本当の意味での景気回復であり、業界の魅力向上に繋がります。

2026年、私たちは「防災・減災」を柱とした国土強靱化をさらに加速させなければなりません。皆様が「第8次構造改善計画」のもとで進められている、品質管理の徹底とデジタル化、そして担い手の育成は、その強固な土台となるものです。

私、斉藤鉄夫は、これからも皆様の現場の声を形にし、圧接業が若者にとって夢と希望を持てる職業であり続けられるよう、全力で支援してまいる決意です。

結びに、全国圧接業協同組合連合会の益々のご発展と、会員企業の皆様、そして現場で奮闘される全ての技能者の皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げ、私のメッセージとさせていただきます。

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■強固で持続可能な組織運営を推進

令和8年1月31日

全国圧接業協同組合連合会 会長 松本 一彦

全国圧接業協同組合連合会 会長 松本 一彦
全国圧接業協同組合連合会
会長 松本 一彦

新年あけましておめでとうございます。全国圧接業協同組合連合会を代表し、令和八年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

日ごろより当連合会の活動に対し多大なるご理解とご協力を賜っております組合員各位ならびに関係各機関の皆様に、あらためて深く感謝を申し上げます。

昨年は、建設分野を取り巻く環境が引き続き大きく変化した一年でありました。第三次担い手3法の段階的施行、労働環境改善に向けた動き、さらにはカーボンニュートラルや省力化施工など、新たな対応が求められる課題が山積しております。圧接業界においても、技術者の確保、処遇改善、人材育成、品質管理体制の強化、現場の安全・安心の向上など、将来を見据えた基盤づくりが急務となっております。

当連合会では、これらの課題に真正面から向き合うべく、昨年度から各委員会を中心として具体的な取り組みを進めてまいりました。特に、若年層の人材確保に向けた外部発信や教育機関との連携は、業界の持続的発展に不可欠であり、今後さらに強化すべき重要施策の一つです。また、ガス圧接技量検定における受検環境の整備、圧接OJT指導員制度の運用見直し、安全講習の充実など、技術・技能の継承に向けた取り組みも着実に進めております。

近年、現場では省人化や効率化を志向した工法・機器の導入が加速していますが、どれほど技術が進歩しようとも、構造物の安全性を支える最後の要は「確かな施工」と「責任ある技術者」であります。圧接は目に見えにくい部分であるからこそ、徹底した品質管理と技量の確保が求められ、その重要性は今後ますます高まってまいります。当連合会としても、各組合の皆様とともに「信頼される圧接業界」を築き上げるため、引き続き業界全体の底上げに努めてまいります。

本年は、標準見積書の普及促進や、技能者育成の体系化、業界の魅力発信、環境対応など、長期的視点に立った取り組みをさらに推し進める一年といたします。社会の要請に応える業界となるためには、組合員一人ひとりの積極的なご参加とご協力が不可欠です。

引き続き、全国のネットワークを最大限に活かしながら、より強固で持続可能な組織運営を進めていく所存です。

結びに、本年が皆様にとりまして実り多き一年となりますことを心より祈念申し上げるとともに、当連合会への一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。

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■基準労務費の先行職種として使命
〜元請けに理解を求め処遇改善につとめる〜

令和8年1月31日

全国圧接業協同組合連合会 副会長 土井 克也

全国圧接業協同組合連合会 副会長 土井 克也
全国圧接業協同組合連合会
副会長 土井 克也

建設業の持続性や担い手確保を推進するための改正建設業法が昨年12月12日に全面施行されました。第三次担い手三法と言われる改正業法では建設産業従事者の処遇改善が大きな柱の一つとなっており、その改善を要する課題の一つである「建設業は他産業と比較して労働に対する報酬が見合わない」との問題を解消するため、国土交通省は工事に必要な労務費を適切に評価し技能者へ行き渡らせることを目的とした施策として以下の「労務費に関する基準」を示し、中央建設審議会は実効性確保に向けた勧告を行いました。

労務単価(円/人日)×歩掛(人日/単位あたり施工量)=単位施工量あたりの労務費

上記に基づき先行的に13職種99工種に関する労務費の基準値が示されています。

職種毎の基準値は「労務費の基準に関するポータルサイト」で閲覧が可能となっており、圧接継手工事もその対象として開示されています(QRコード参照)。

労務費の基準に関するポータルサイト
労務費の基準に関するポータルサイト

労務費の基準値はD25を対象として各技能者別に『歩掛』が0.013(溶接工)・0.004(普通作業員)と示されています。算出に用いる労務単価は年度毎に都道府県別に示されている「建築工事設計労務単価」に歩掛を乗ずることで単位施工量あたりの労務費となります。

この歩掛を用いて1人が1日に施工可能な数量を算出する場合には両技能者の歩掛の合計値の0.017を除し算出します、D25の場合1÷0.017=58.82個所が1人・1日当たりの施工数となります、ただし労務費を算出する場合は技能者別に労務単価が異なるためそれぞれの技能者別歩掛と労務単価を乗じて行いますが、歩掛は固定的なものではなく施工環境や難易度により大きく変わる進捗度合に応じて変移することが当然となるため専門工事業者は施工物件の生産性を適切に評価することが必要となります。

また、この算出に用いる「建築工事設計労務単価」は見積時に変更することは認められていないため、同業者間での競争原理が作用した結果の価格差は歩掛によって異なることになります、この仕組みを利用し受注競争で歩掛を適切に評価しないことで労務費相当額を低金額とするいわゆるダンピングによる受注契約の蔓延を危惧する声もあります、改正後の12月12日以降は基準値に基づいて算出された適正な労務費を著しく下回る見積や契約はできないと明記されているうえ、国土交通省は「建設Gメン」による現状把握、指導を通じて施策の適切な運用を行い、運用状況の情報は請負形態の立場に関係なく積極的に収集するとしています。この「建設Gメン」の指導範囲は元請けや注文者等の発注者だけでなく受注者である我々専門工事業者も対象となります。

歩掛を用いた積上げ式の見積書

今回の施策により受注契約の手法が大きく変革することとなります。従来、圧接工事業は歩掛を基に見積積算を行うことが一般的では無く、(D25・¥○○○/箇所×施工数)のような“包括的な単価”で調整することが通例となっていますが、施策では施工単位毎に1箇所あたりの労務費や経費(雇用に関わる経費とされる法定福利費と安全衛生管理費の合計)、施工に伴う材料費や消耗品等経費を含めた工事原価に相当するもののほか一般管理費を明確にした、所謂“積上げ式の見積”とすることが必要となります。

全国圧接業協同組合連合会では法改正に合わせ「標準見積書」の見直しを行っています。前出の国土交通省の示す労務費の基準での歩掛はD25のみが対象事例であるため組合員が混乱することを防ぐために業としての統一的な概念が必要であるとの事由から他の鉄筋径に対する基準的な考え方を以下に纏めました。

細径鉄筋は径が細くなったとしても1日あたりの作業量には限界があり、作業工程も大きく変わることが想定できないとしてD22以下はD25の基準を歩掛の下限値とし、各工事の生産性を勘案し会員企業が工事毎に調整することとしました。他方、太径については1箇所あたりの施工時間を考慮し歩掛から算出されるD25の1人・日当りの施工数から導いた鉄筋の総断面積と対象鉄筋の面積対比としました。

また、実施工物件の歩掛算出には鉄筋径のみだけではなく工期や工事環境の影響も考慮する必要があります、柱筋の長尺部材や重量部材、夏季の酷暑日は施工数が減少するため歩掛はマイナスとなりますが、理想的な施工環境が確保されている場合は生産性が向上するためプラスになります。

4.脱炭素は事業活動の絶対条件

前述は一例ですが、従来の単価×箇所数では反映出来難い条件も改正法による見積では生産性を見込んだ見積契約が可能となります。一方で、割増等で対応してきたケースや常傭工事の範囲基準についても歩掛で評価するため様々な例示に対して圧接業としての認識を共通化することも今後必要となります。そのほか、工事原価相当分は価格調整の対象とならないよう明示されていますが、近年のガスや資材等の度重なる価格上昇分を工事途中に転嫁できず受注側の負担増となっている現状に対応するため、工事途中であっても所定の手順を踏むことで材料原価上昇分について発受注間で協議することが可能となるような法改正も行われていますが、契約時に適切な経費の明示が無ければ物価上昇分を負担いただくための事実を補えないばかりか顧客の信頼を失う可能性もあります。

一方、工事原価とならない企業利益を含めた一般管理費等の経費は市場における競争の対象であることから規制対象外となっています。利益を圧迫しないためにも各社が適切に必要経費を算出することが重要です。

大きな改革ともいえる今回の改正建設業法に示された施策は国の直轄工事から順次適用されることになります、加えて公立学校等も対象となるとされていますが、組合会員の多くが受注する民間工事への普及は労務費の基準値が示された先行的職種以外が出揃っていないこともあり、もう少し時間が必要となりますが、我々専門工事業者が率先して対応しなければ変わることもありません。

全圧連松本会長は「将来への希望をつなぐための生みの苦しみである」としており、会員企業の負担が少なく法改正に適切に対応できるよう引き続き努めて参ります。

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■日本の建設を支えてきた誇りを胸に、
今こそ「逆転の精神」を発揮する時

令和8年1月31日

全国圧接業協同組合連合会 副会長 足立 真規

全国圧接業協同組合連合会 副会長 足立 真規
全国圧接業協同組合連合会
副会長 足立 真規

組合員並びに関係各位におかれましては、清々しい新春を迎えられたことと、心よりお慶び申し上げます。平素は、当連合会の活動に対し、多大なるご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、昨年を振り返りますと、私たち関西に身を置くものにとって、最大の出来事は「大阪・関西万博」の開催でした。開催前には準備の遅れや盛り上がり懸念する声もあり、私自身も、期待と不安が入り混じる時期がありました。しかし、いざ幕を開ければ、会場は世界中の活気に包まれ、歴史的な成功を収めることができました。下馬評を鮮やかに覆したこの「大逆転」の歩みは、「今は厳しくとも、最後まで諦めずにやり遂げれば道は開ける」ということを我々に証明し、大きな勇気を与えてくれました。

しかし、万博という大きな山を越えた今、業界全体を見渡せば現実は依然として厳しく、日本の建設業界全体が正念場を迎えています。特に本年は、プロジェクトの大型化に伴う「工期の深刻な停滞」が大きな壁となります。資材や燃料費の高騰、深刻な人手不足、働き方改革による時間規制、そして異常気象への対応。これらが重なり、現場を動かしたくても動かせない状況が全国で常態化しています。実施工が始まらない「待ち」の時間は、技能者の維持や資金繰りを圧迫する死活問題であり、我々鉄筋継手業者にとって極めて厳しい経営環境を強いています。

ですが、我々立ち止まっているわけにはいきません。万博が逆風を跳ね除けたように、この苦境を打破するための「攻め」に転じる必要があります。その強力な武器となるのが、昨年12月に国土交通省から勧告された「標準見積書」です。これは、我々が適正な対価を得て、現場の価値を正当に評価させるための強力な追い風です。これまでの商慣行を脱し、次世代の担い手を育てるための原資を確保する。このターニングポイントを確実に捉えなければなりません。

そして、我々のコア技術である「圧接継手」と「溶接継手」の真価を再認識すべきです。現在、高強度鉄筋「SD490」の普及により機械式継手が優勢であるかのような既成概念がありますが、我々の技術は、安全性、経済性、施工の柔軟性において、決して引けを取るものではありません。「SD490においても、圧接・溶接こそが最高の選択である」という事実を、確かな品質と実績をもって広くに知らしめ、シェアを奪い返す強い意志を持ちましょう。

全国圧接業協同組合連合会は、今年2026年に設立50周年という大きな節目を迎えます。半世紀にわたり日本の建設を支えてきた誇りを胸に、今こそ「逆転の精神」を発揮する時です。厳しい現状を直視しつつ、全組合員が一丸となって鉄筋継手業界の新たな歴史を切り拓いていくことを、ここに強く誓います。

結びに、本年が皆様にとって、技術革新と事業発展の飛躍の年となるよう祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。

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■日本初 カーボンオフセット付きアセチレンを販売開始

令和8年1月31日

高圧ガス工業株式会社 関東地区長代理・部長 中井 康夫

1.はじめに

高圧ガス工業株式会社 関東地区長代理・部長 中井 康夫
全国圧接業協同組合連合会
会長 松本 一彦

当社は国内トップシェアのアセチレンをはじめ酸素、窒素など各種産業用ガスや医療用ガス並びに関連機材等の製造・販売を全国各地で展開しています。特に、貴組合と関連の深いアセチレンについては、創業当初から手掛け67年の歴史を持ちます。アセチレンはその歴史の中で、わが国の様々な分野の発展に寄与してきたと自負しております。

一方、昨今は気候変動への対応が大きな社会課題として捉えられています。アセチレンは温暖化の原因とされるCO2排出量が多い物質の1つであることが指摘されています。そうした中で、当社ではこれまで、「人と技術と環境の調和」の実現を旗印に、サステナビリティの実現に向けた製造から流通・販売、利用まで一貫した取り組みを実施しており、アセチレンにおいても例外ではありません。

例えば、製造工程では「常圧スマート浸炭」と呼ぶアセチレンと窒素を用いて鋼材表面に直接浸炭を行う処理工法を開発し、これによって大きなCO2発生源である変成炉を一切使用せず、CO2排出量を90%以上削減する画期的な浸炭技術を実現しています。

2.カーボンオフセットの仕組みとメリット

こうした供給側の取り組みの一方、需要側に寄与する取り組みとして行ったのが、今回、令和7年10月に販売開始した日本初のカーボンオフセット付きアセチレンです。同アセチレンは、J-クレジット制度(省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用によるGHG等の排出削減量や適切な森林管理によるGHGの吸収量を、クレジットとして国が認定する制度)を活用し、アセチレンのライフサイクル(製造・運送・使用・廃棄)で発生するGHGをカーボンクレジットにて相殺(オフセット)することによりGHG排出量を実質ゼロとするものです。

同アセチレンを利用する企業側のメリットとして、主に以下の4つが挙げられます。

  • ① 環境への貢献:製品利用による温室効果ガスがオフセットされているため、オフセットされていない製品と比較して環境負荷が小さい選択となる。
  • ② 企業イメージの向上、脱炭素経営への足掛かり:環境意識の高い選択をすることで、「エコな企業」という評価につながる。
  • ③ 環境報告書・サステナビリティレポートなどへの活用:オフセット製品の利用を通じた温室効果ガス排出量の見える化と排出報告が可能。
  • ④ 入札・取引先要件への対応:グリーン調達や環境配慮を求める取引要件を満たしやすくなる。

販売価格は通常品よりカーボンオフセット分の費用が加算され、通常販売価格+100円/㎏です。(ただし、この価格は、利用するカーボンクレジットの価格によって変動します)

今後も当社グループはお客様のニーズ及び外部環境の変化に対応した製品開発を進め、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

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■インドネシアで体験型職種説明会開催
〜山田理事長ワークショップ体験記〜

令和7年11月29日
ガス圧接継手の説明をする山田理事長 /></td>
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11月29日、インドネシアのジャカルタで職種説明会が開催されると聞き、宮口氏(東海ガス圧接㈱)に同行して私、山田(北圧協・理事長)が行ってまいりました。

説明会は専門工事業8団体が主催し、見て触って体験する参加型ワークショップで、ジャカルタの専門高校10校から約70名の学生が集まり、日本の技術力を目の当たりにして、矢継ぎ早に質問が飛んでいました。

鉄筋継手のブースでは、宮口氏とコンビを組んでガス圧接継手の説明、体験コーナーではバーナーに触れ、鉄筋を圧接器に取り付ける作業を体験しました。

ガス圧接継手が海外で紹介され、インドネシアの学生が日本の構造物を支える技術を学び、インドネシアに圧接技術が伝承できる日が、そう遠くないと感じた貴重な体験でした。

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松本一彦会長インタビュー

■この難局を乗り越えよう

令和7年7月10日
全国圧接業協同組合連合会 会長 松本 一彦
全国圧接業協同組合連合会
会長 松本 一彦

──まず、この5月で、全圧連の会長に就かれて1年が経ちました。この1年を振り返ってどのような1年であったかお聞かせ下さい。

松本 昨年5月30日の総会から会長の大役を仰せつかり、土井、足立両副会長をはじめとする関係者皆様のサポートを得ながらやってきた1年でした。

この間、不慣れながら業界の代表として、国交省の労務費基準策定ワーキンググループや日本鉄筋継手協会の理事出席など各関係団体の会合へ参加し、当組合業種の現状の説明や、要望等を発信してきました。

また、これまで支部の理事長も務めてきましたが、同業種というものの、やはり仕事のやり方にも地域性があります。従って、そうした地域性の違い、特徴の違いに耳を傾け、皆さんの意見を聞きながら、運営していくことを心掛けてきました。平素より組合活動にご理解、ご協力をいただいています理事及び会員企業の方々には改めて感謝申し上げます。

──さて、今回は5年周期で計画策定されているアクションプランで当連合会にとって極めて重要な「第8次構造改善計画」を中心に、お伺いをさせていただきます。まず、計画の前提である業界を取り巻く現状について、どのように捉えられているのかお聞かせください。

松本 第一に、少子高齢化が進む中、若年者の入職不足は他産業と比較しても慢性的かつ喫緊の課題であり、事業を継続するうえで最重要課題と捉えています。そうした中で、旧態依然の“きつい“汚い”“危険”のいわゆる3Kの職場環境では若者は入職せず、労務職である我々の業界は衰退の一途です。本気で事業を継続する覚悟があるならば、月給制度の導入や週休二日制、有給休暇取得など他産業では当たり前となっている処遇を改善する必要があります。そして、これまでのイメージを一新させ、“給与が高い”“休日が多い”“希望が持てる”“カッコイイ”、という建設業の新4Kを目指さなければなりません。

また、担い手不足により建設工法も変化し、プレキャスト工法や先組ユニット工法が増え、従来の重ね接手やガス圧接では施工できないケースもあり、溶接継手や機械式継手も施工できるスキームが求められています。目指すべき「顧客から信頼される技術集団」とは、顧客のニーズに応えられる技術力・機動力・提案力と品質の担保が不可欠な集団であり、そのためには情報の共有と技術の研鑽が裏付けされなければならないと思っています。

──基本方針では「challenge to change=変化するものが生き残る」というまさに構造的な改革を呼びかける方針が副題に示されました。いまの時代はそれだけ重要な転換点にあるということだと思います。現状について、業界ではその認識をどの程度認識していると感じておりますか。

松本 さきほど、地域性や工法の変化の話を少ししましたが、建設業全体のニーズとしてこれまでの圧接工法に留まらず、溶接や機械式といった幅広いニーズにも応えていかなければいけません。これは避けられない流れだと思います。つまり、総合鉄筋継手として対応できる体制にしていかなければならないということです。そこをしっかり認識し、取り組むことが極めて大事な局面であり、会員企業全体にその意識を高めていきたいと考えています。

──基本方針では直面する課題として大きく3つの課題を挙げております。それぞれについて、お聞かせください。

(1)特定技能外国人による担い手の確保について

松本 日本の若者が入職してこない現状下、技能実習生や特定外国人の活用は苦肉の策でありながら、持続的な事業経営には必要不可欠な手段だと思います。政府の方針では、2027年度より技能実習制度が廃止され、育成就労制度に移行することが予定されます。

具体的には、育成就労制度では基本的に3年間で人材を計画的に育成し特定技能へ移行させることが求められ、特定技能制度では特定の分野「介護・建設・農業・製造」の専門性・技能を有する外国人を受け入れ特定1号で最長5年、特定2号となると在留期限の上限がなくなり、家族帯同で永住できることになります。

いずれの制度を選択するかは各企業の判断ですが、全圧連としては制度に詳しい(一社)建設技能人材機構(JAC)と連携し、特定技能人材説明会などを通して有益な情報を発信し会員企業の要求に応えたいと考えています。

(2)主要燃料となるクリーンエネルギーについて

松本 2030年温室効果ガス排出46%減(2013年度比)を目指す日本政府の宣言を受け、当連合会としてもカーボンニュートラルを第7次構造改善計画に盛り込み展開してきました。今回の第8次構造改善計画ではさらに、具体的な取り組みとして、高分子天然ガス圧接工法及び水素エチレン混合ガス圧接工法の更なる普及展開に努めると共に、新たなクリーンエネルギーによるガス圧接工法の技術協力と普及展開を図っていきます。

(3)働き方改革=処遇改善について

松本 今後、10年以内に技能者は5割近く減少します。人材不足の背景には賃金の問題が内在しています。年々深刻化する人手不足、若年者の業界離れに歯止めを掛けるために処遇改善が喫緊の課題となっています。

2024年6月、建設業法が改正され労務費の基準を定め、発注者、元請け、下請け間で適切な労務費を確保した標準見積書による受発注契約を行い、現場で働く技能者へ適切な賃金を支払うことが求められます。さらには建設業界も4週8休の実現に向け、アナログからデジタル化の移行やロボット・自動化など生産性向上が求められています。

われわれ鉄筋継手業界もこうした流れに乗り遅れることなく、時代に対応した建設DXに取り組まなければなりません。

──次に、取り巻く課題を受け、経営戦略化ビジョンとして具体的な6つの対策を示しました。それぞれのポイントについて、お聞かせください。

(1)鉄筋継手業として業種独立について

松本 建設業許可業種区分では鉄筋工事業が鉄筋加工組立工事と鉄筋継手業に分類されています。これまでも長年、業種独立のチャレンジは行ってきましたが小業界であるが故、残念ながら実現できませんでした。しかし、昨今の鉄筋継手業界は省人化、省力化したPC工法や先組鉄筋への対応として、従来のガス圧接以外の溶接継手や機械式継手も施工できる技術力の向上や品質確保に取り組んでいます。

総合鉄筋接手業としての業種独立には溶接業界や機械式継手業界を取り込んだ組織拡大や顧客から信頼できる業界団体として認識されるまでのハードルは高いですが、これまで積み重ねてきた実績をもとにチャレンジして参ります。

(2)顧客満足の拡充=品質確保のための適正価格について

松本 顧客の要求に応えるために、われわれは鉄筋継手に関する技術・施工・品質・管理体制などエキスパートでなければなりません。鉄筋継手は建設物の構造に関わる重要な役割と品質責任を担っています。継手の品質確保には適正な工程と誠実な施工、後工程の検査が必要です。誠実な施工を担う技能者には卓越した技術力と経験が必要であり、日々の訓練も欠かせません。将来に希望が持てるキャリアアップの見える化と「適正価格」の確保を行い技能者の賃金アップに繋げていきたいと思っています。

(3)働き方改革を基盤とした処遇改善について

松本 働き方改革では技能者の処遇改善が最優先であり、賃金の安定を図る月給制度の導入や若年者に対する4週8休プラス有給休暇の取得が最低限の取組み目標だと思います。そのためには適正な受注価格が不可欠であり、建設業法改正に伴う第三次担い手3法による適正な労務費の確保により処遇改善をして参ります。

(4)担い手確保のための環境整備について

 若者から選ばれる企業・業界へ変革しなければ技能継承も事業継承も出来ません。将来像(ライフプラン)が見える鉄筋継手業界を目指し、各単協による工業高校への出前講座や関係団体を通じて子供、親御さんへ建設業の魅力を発信するPR活動を積極的に行い、一人でも多くの若年者を雇用・育成・定着させて参ります。

(5)外国人の受入れ=外国人技術者の育成

 建設業界で働く技能者は2024年4月現在、14万人を超え、その中には多くの技能実習生・特定技能外国人が日本で活躍をしています。先ほどもお話ししたように現在の技能実習制度は2027年に廃止され、人財の確保・育成を目的とした育成就労制度に移行されます。特定技能外国人制度では鉄筋継手(圧接継手・溶接継手)が特定技能業種として認められていますが、技能実習制度では鉄筋継手(圧接)は主たる業種として存在しません。2025年3月の閣議決定による育成就労制度で鉄筋継手(圧接)が受け入れ対象分野となり、それに対応する抜本的な見直しをした技能評価試験(初級・専門級)の整備が必要となります。われわれにとっては非常に難しい取り組みになりますが、2027年度からの制度移行に向け全力でチャレンジします。

(6)クリーンエネルギー=脱炭素に向けた取り組みについて

 CO2排出削減に向けて10年、20年先を見据えカーボンオフセットアクションプログラムを策定し、カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けて事業を展開していきます。先ほども触れました高分子天然ガスや水素・エチレン混合ガスを主要燃料に加え、ガス圧接の新エネルギーとして普及展開を図ります。

また、会員企業の取り組みとしては、出来るだけ再生可能エネルギー技術の活用を図り、さらにはエコドライブや事務所の省エネ化など事業活動におけるライフサイクルアセスメント全体での省エネルギーを徹底していきたいと考えており、全圧連としてもこうした活動をサポートしていきたいと考えております。

──最後に、組合員に向けてメッセージをお願いいたします。

松本 われわれ継手業界を取り巻く環境を的確に捉え、山積する課題へチャレンジしなければ衰退の一途です。全圧連の有志とともに力を合わせ、覚悟と決意でこの難局を乗り越え、新たな鉄筋継手業界を切り拓いていきましょう。

──本日は、ありがとうございました。

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■CO2排出量を大幅削減する天然ガス圧接工法~「エコスピードⓇ工法」が拡大中

令和7年7月10日
エコウェル協会 事務局〈所属〉東京ガスケミカル(株) スペシャリティガス部 マネージャー 石塚 尚生
エコウェル協会 事務局
〈所属〉東京ガスケミカル(株) スペシャリティガス部
マネージャー 石塚 尚生

1.はじめに

エコウェル協会は、東京ガスグループ企業である東京ガスケミカル㈱に事務局を置き、天然ガスを利用した圧接工法の開発や技術向上、普及等の活動を行っています。アセチレンガスを用いたガス圧接工法に替え、環境にやさしい天然ガスを用いた圧接工法の普及を目指し、2005年7月に設立され、現在は脱炭素化技術として注目されている「エコスピードⓇ工法」(高分子天然ガス圧接継手工法とも呼ぶ)の普及と施工体制支援、技術向上に注力しています。

2.「エコスピードⓇ工法」の開発経緯

同工法は、天然ガスの活用拡大を目的に開発が進められ、ガス圧接の1つとして取り扱いができることを国土交通省に確認、また、(公社)日本鉄筋継手協会の継手性能(A級)試験に合格しています。同工法は、特に接合不良のリスクを防ぐ表面の酸化防止が条件となる圧接について、ポリスチレンと鋼製リングで構成する特殊なPSリングを開発し、同リングを圧接前の鉄筋に挟み込み加熱することで課題解決させています。技術的な効果としては、鉄筋接合面の還元雰囲気の確保、残留空気パージと大気の侵入防止、還元ガスの拡散防止など多くのメリットがあります。

3.環境性、安全性、作業性、エコウェルガス(天然ガス)について

同工法による特徴と利点は、大きく環境性、安全性、作業性、品質安定性の4つが挙げられます。環境性は、CO2排出量がアセチレンに比べ、ガス採掘から燃焼までのLCA評価で約60%削減できます。安全性は逆火がほとんど発生しないことから危険性を大幅に低減しています。また、作業性、品質安定性はPSリングの使用により還元性ガスを発生させ、その還元性ガスで酸化を防止することで、接合不良を大幅に低減し、還元炎を使用しないため加熱中の火炎調整が不要となり、作業者の負担も軽減され作業性も向上します。

さらに、同工法で使用する「エコウェルガス(天然ガス)」は、天然ガスのライフサイクルで発生する温室効果ガスを国内外の様々なプロジェクトで削減・吸収したCO2で相殺するカーボンオフセットにより、実質CO2排出量ゼロとなるガスを使用することから、脱炭素化に大きく貢献します。

なお同会では、事業者の環境への取り組みが正当に評価されるよう、環境貢献の評価となるCO2排出量の算定・報告について、「ガス圧接工事CO2削減計画書」の作成をサポートしています。

4.今後の取り組み

同工法の施工実績は、2025年3月末現在で物件数5,811件、圧接箇所数約716万箇所に上ります。また、本工法を指定採用いただくデベロッパーや設計会社、ゼネコンなども急速に増えています。エコスピードⓇの技量資格者も年々増加し、430人を超え、アセチレン資格者を合わせた全体資格者割合で、20%弱まで伸びています。

環境負荷低減が強く求められる時代であり、今後もさらに同工法の普及を加速させてまいります。

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■CO2排出量の削減に貢献する水素・エチレン混合ガス「ハイドロカット60」の特徴

令和7年7月10日

岩谷瓦斯株式会社

1.はじめに

当社は皆様にご愛好頂いておりますアセチレンをはじめ、水素ガス、ヘリウムガス、炭酸ガスなどを製造しております。また、水素の国内シェアNO.1の岩谷産業のグループ会社です。水素を究極のクリーンエネルギーとして捉え、水素エネルギーの普及を進めているところであり、我々も水素ステーションにおける燃料電池自動車に充填作業なども担っております。大きな社会課題である脱炭素化は、いまや企業の責務となっており、力を入れております。そうした中で、大きな第一歩が今回紹介させていただく、水素・エチレン混合ガス「ハイドロカット60」(註1)です。

2.「ハイドロカット60」とは

「ハイドロカット60」は、アセチレンに代わるクリーンエネルギーである水素とエチレンを混合したガスです。水素60%、エチレン40%の混合比率による最適化のマッチングにより、CO2の排出量は原料採掘から生産、流通・消費までのLCA算定で、アセチレンと比較し約84%削減が可能であり、プロパンガスからは約65%削減可能です。さらに逆火の低減、輻射熱の低減による安全性の向上、作業環境の改善を実現します。また、各種鋼材の切断、加熱作業。ロウ付け、ガス圧接、ガス式溶射においても、従来のアセチレンと同様に使用でき、建設、造船、車両部品、解体、プラントメンテなど幅広い分野でご採用いただいております。2011年に市場投入され、今日まで全国でご愛好いただいております。(公社)日本鉄筋継手協会様にも水素・エチレン工法としてハイドロカット60が認定されております。

3.環境性、安全性、品質、作業性、経済性

主な特徴をもう少し詳しく紹介します。最も大きな特徴であるCO2排出量の削減については、ボンベ1本の場合のCO2排出量はアセチレン103.5㎏-CO2e/本に対し「ハイドロカット60」は16.5㎏-CO2e/本で削減量は87.0㎏-CO2e/本です。

また、安全性については、空気より軽いことからガス溜りができ難い、燃焼範囲が狭い、発火温度が高い、自己分解爆発がしない、逆火が起こりにくく、さらに、容器内では気体の状態であり、容器が倒れた場合でも、気体であるので急激な体積の膨張がありません。

作業性については、水素により輻射熱が低減することから作業者の熱中症対策、作業効率の向上が期待できます。また、ススが少なく、製品、作業場へのススの付着の軽減により、火口の清掃数、交換頻度が軽減し、さらに、ノロが取れやすく作業者の負担を軽減します。品質は切断面が綺麗であり、肩ダレの低減、焼けの低減、歪みの低減が見込まれます。経済性については、価格が安定しており相対的にパフォーマンスは良くなっています。

4.脱炭素は事業活動の絶対条件

カーボンニュートラル、脱炭素というのは一朝一夕に達成できるものではございません。アセチレンの需要というのは、まだまだ続くと思います。しかしながら、脱炭素を求める声というのは世界中で非常に高まっております。これまでのような脱炭素への努力義務から、絶対に取り組まなければならないマストの課題となっています。そうした中で、私どもは脱炭素化に貢献できる製品の開発に努めております。その代表的な製品の一つである「ハイドロカット60」を積極的にご愛好いただければと思っております。

註1:姉妹品「ハイドロカット90」はLPGに代わる切断用途に特化したもの。

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■令和7年 建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰
 嘉藤裕一氏が受賞

令和7年7月10日

令和7年度建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰を嘉藤裕一氏(㈱嘉藤工業所)が受賞しました。嘉藤氏は多年鉄筋工事業に精励するとともに関係団体の役員として業界の発展に寄与しました。その功績が認められての受賞となりました。

受賞のことば
嘉藤裕一氏

このたび、令和7年度建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰という栄誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。

この36年間ガス圧接技術の習得と研鑽に励むなかで、諸先輩方や同業者の皆様に支えられ、今日に至りました。仕事の基礎すら分からなかった若き日から、ご指導を受け、経験を積み重ね、微力ながら業界の発展に寄与できたことを誇りに思っております。

現在、全圧連の理事相談役として、社会のニーズの変化から技能者の地位向上の必要性を強く実感しております。この度の受賞を新たな励みとし、業界の更なる発展に貢献できるよう、一層精進してまいります。

今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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■青年部インドネシアで特定技能面接会を開催

令和7年7月10日
青年部インドネシアで特定技能面接会を開催

昨今、建設業界での人手不足が加速するなか、圧接業界も同じく、高齢化によりベテランの引退や若手入職者が入らない等、作業員は明らかに減少しています。

そんな中、3年後・5年後と先を見据えると、圧接は人の手で行うもの、その人がいなければ会社は衰退してしまう。慢性的な人手不足のなか、圧接継手を継承していくために、全圧連青年部は5月8日〜10日インドネシアのジャカルタで特定技能面接会と初の海外研修を実施しました。

特定技能1号の在留期間は5年、会社を維持するには必要不可欠な人材です。本研修を通じ、特定技能採用の現状と彼らの熱意を感じることができました。

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